

※30周年に合わせて手軽に飲めるコーヒードリップバッグ(30周年記念ブレンド)を今回もお世話になっている糸島のペタニコーヒーさんに美味しく作っていただきました。数量限定ですが販売をしております (10袋入1500円税別) バルベリア

■■■ Shiho の U.K.通信 ■■■

"The Iconic ballet, reimagined."
再構築された古典バレエ。
アクラム・カーン振付のイングリッシュナショナルバレエ(ENB)による現代版「Giselle(ジゼル)」をサドラーズウェルス劇場で鑑賞しました。「ジゼル」と言えば、愛と裏切り、復讐、赦し...古典ロマンティックバレエの代表作であり、バレエの発表会にも度々登場する人気の演目。「白鳥の湖」「ラ・シルフィード」と並び三大バレエブラン(白いバレエ)だそうで、白いコスチュームをまとって幻想的に舞う姿は皆が思い浮かべるバレエそのもの。しかし、アクラム版「ジゼル」は真向から鋭く深い闇に切り込みます。白い衣装は泥水に染まったようなアースカラーに統一され、舞台一面にそびえ立つ巨大で分厚い不気味な石の壁には苦悩や怒り、絶望さえも想起させるおびただしい数の手の跡が残り、壁の向こうでは、この上なく贅を尽くし視線を送ることで命令し不自由なく暮らす世界が存在する。敢えて年代や環境や階級などの設定をぼかし、誰もが日常的に向き合っている乗り越えられない何かをイメージさせ、観客の頭の中の新しい解釈で完成させるような包容力を感じます。一幕でダンサーは一切トウシューズを履かず、二幕になると一転し、冥界を妖艶に舞うウィリ達の足元は終始爪先立ちでスーッと床を滑るよう彷徨い、恐ろしいほどに美しく非現実的な演出に息を呑みます。以前ここで鑑賞したバレエもENBの演目。どうも私はこのENB独自ののひねりの効いた表現力が性に合うよう。今回も感動で震えが止まらずしばらく茫然自失、幕が下りても拍手をする手が止まらず、こてんぱんに打ちのめされ数日経っても頭の中は「ジゼル」でいっぱい。アクラム・カーンはバングラディッシュ系生粋のロンドン人で幼少の頃からカタック舞踊を学び、独創的なコンテンポラリーダンサーとして名を成し、ロンドンオリンピックの開会式のパフォーマンスも手掛けました。そのアクラムを招聘したのが2012年にENBの芸術監督に就任し、自らプリンシパルも務めるタマラ・ロホ。彼女は英国ロイヤルバレエで十数年も「ジゼル」含む数々のクラシックバレエの主役をこなしてきた経歴から、このENBの抜本的な改革に踏み切り高い評価を受けCBEを叙勲。イギリスらしく多様性を重んじ、あらゆる芸術に関する成熟した受け止め方で新しいレベルのバレエへと導いている印象です。私のバレエへの偏愛は完全に彼女の仕業でした。2016年に初演され世界をツアーした後、2018年に映画化されたアクラム版「ジゼル」。今年の3月にはDVD/Blu-rayも発売されたのだそう。実は...初めて買うBlu-rayをAmazonから届くのを今か今かと首を長くして待っているところです。